ミニ大復活 自然体で広がりそうな兆し


 ミニが久々に大復活しそうな気配だ。ここ数シーズンでスカート丈は少しずつ短くなっていたが、来年春夏のパリやミラノなどの新作コレクションでは、ほぼすべてのブランドが超ミニのスカートやパンツをそろって発表。すでに東京の街角でも、ひざ上20センチを超すミニルックが目立ち始めている。

遠目だと脚が全身の半分以上を占め、モデルの異様な小顔のせいもあるが、まるでアニメのヒロインそのもの。この秋の07年春夏コレクションでは、そんな超ミニが闊歩(かっぽ)した。

 パリのシックなしにせブランド、シャネルは、下着が見えそうなほど短いドレスやスーツをそろえた。前回はひざ丈だったショートパンツも、一気に水着のように短くなった。

 シャネルといえば、ミニが世界的に流行するきっかけとなった1966年春のパリ・オートクチュールコレクションでも、「女のひざ頭は美しくない」との理由でミニを断固として拒否したブランドだった。

 後になってミニも出すようになったが、「これほどの全編超ミニは、シャネルの歴史でも多分初めて」と評判になった。

 プラダは超ミニの中でもさらに際だつ、下着がのぞく短さ。ただし素材に張りがあり、簡潔なデザインに緊張感があるため過度なセクシー感はない。背中の大きなリュックサックと服がほぼ同じ長さで、全身が軽快に見えた。

 いま人気のクロエは、腰の位置の高い、子供服のようなミニドレス。今シーズンは全体的にウエストポイントが高いラインが主流なことも、ミニ化に拍車をかけたようだ。

 今後の服の傾向として、多くのブランドが共通して挙げているのは、「軽さ」「シンプル」「ロマンチック」など。この三つを同時に満たそうとすれば、細部の凝った装飾が必要で、その分だけ重くなる。あるデザイナーは「その解消策としてミニ化が最適」と説明した。

 東京・恵比寿で黒のマイクロパンツと長いカーディガンを着ていた会社員(21)は「軽くて開放感があるので、冬もミニで通すつもり」と語った。

 コレクションや東京の今の街頭では、素足で高いヒールを合わせて脚の長さを強調するのが主流だが、スカートの下に細い七分丈のパンツをはく見せ方もある。数年前に流行した、ふわふわしたスカートの下にパンツを合わせたのとは違う、すっきりとした新「スカパン」ルックも登場し始めている。

 60年代後半から約10年続いた世界的なミニ大流行の時は、カトリックの総本山バチカンや英国内務省、中国共産党などまでも巻き込んだ「ミニ是非」をめぐる大論争が起きた。

 それから約40年。ファッション業界内部からも「あれだけ短いと、売れにくいのでは」との声もある。だが、道徳や性意識も大きく変化し、女性が脚を露出することについて大論争が起こりそうな気配はない。

 今回のミニは、もっと自然体で広がりそうだ。すでに女子高生の制服では、北海道から沖縄まで、かなりの超ミニがすっかり定着しているのだから。


シャネル=いずれも大原広和氏撮影


朝日新聞 - 2006年11月20日