痩せすぎモデル問題 「出演禁止にはしない」とフランス

 フランス保健省が先月30日、“痩せすぎモデル”問題に対する方策を発表した。ファッションショーから締め出しはしないが、痩せすぎによる健康へのリスクをファッション業界にもっと自覚してもらうために、任意の憲章を導入するということだ。

 ファッション業界のデザイナーやモデル事務所などに対しては、やせ細った体型を促進しているとして各方面から批判の声が上がっていた。若い女性の摂食障害の一因となっているというのだ。

 2006年にはラテンアメリカ出身のモデル2人が拒食症により死亡し、痩せすぎモデルと摂食障害の問題がマスコミの注目を集めた。こうした懸念から、スペイン、イタリア、ブラジルやインドなどの国では、痩せすぎモデルはファッションショーへの出演禁止とする措置をとった。

 フランス保健省の職員によると、この問題の調査を行っている特別調査委員会では、痩せすぎモデルの出演の全面禁止を勧告するつもりはないということだ。

 「ファッション業界、マスコミおよび広告業界に対して、任意の憲章を導入させることで合意に達しつつあります」と、この職員は語った。「この措置はスペインが設けたような規制とは違い、ファッション業界における意識向上と情報提供を強くはたらきかけるものです」。

 フランスでは、ファッションは一大産業。若くて細いモデルがポスターやファッションショーで高級商品を宣伝し、海外での売り上げに一役買っている。

 前述の当局者は、「デザイナーやモデル事務所を名指しで非難しても何にもなりません」と語った。

 フランス・ファッション協会の会長は1月に、モデルの健康に関してはすでに厳しい制約を設けており、これ以上の措置をとって痩せすぎモデルを出演禁止とするようなことはしない、と語っていた。だが、それでも懸念する声はある。

 パリの町会議員ヴィオレット・バランダ氏はル・パリジャン紙の取材に対して、「我々は明確な立場を打ち出さなければなりません。求められる体重よりも1キロ多いからといってモデルに採用されないことがあるのです。そうした歪んだ基準を持つ一部デザイナーたちが、女性をどんどん痩せすぎへと導いているのです」と語った。

 パリ市議会では今週、ファッションショーの主催者に痩せすぎモデルを採用しないよう圧力をかける法案の採決を行った。だが保健省は、この法案は象徴的意味を持つにすぎず、ファッション業界にその慣例を変えるよう強制することはできないとした。

 レバノン人デザイナーのエリー・サーブ氏はロイターの最近の取材に対して、ふくよかな女性の方が好きだと語った。だがシャネルのデザイナーであるカール・ラガーフィールド氏は昨年、シャネルが採用しているモデルたちは「骨格が細いのだ」と擁護した。

 今週、イタリアで最も有名なファッションブランドヴェルサーチ」の株式の一部を保有するドナテラ・ヴェルサーチ氏が、愛娘が拒食症を患っていると認めたことから、この問題が再び脚光を浴びている。

アメーバニュース - 2007/4/2