菊地凛子“快挙”オスカー候補

米映画界最大の祭典、第79回アカデミー賞の候補が日本時間23日、発表され、ハリウッド作品「バベル」に出演した女優の菊地凛子(26)が助演女優賞にノミネートされた。日本人女優がオスカー候補になったのは、「サヨナラ」のナンシー梅木以来49年ぶりで2人目。発表・授賞式は2月25日(日本時間26日)、米ロサンゼルスで行われる。

 ハリウッドデビュー作で全米の賞レースに旋風を巻き起こしている菊地の快進撃は止まらない。ロス市のサミュエル・ゴールドウィン・シアターで発表されたオスカー・ノミネーション。助演女優賞部門でトリを飾って「リンコ・キクチ」の名前が読み上げられた。

 高級海外ブランド「シャネル」のコレクションに出席するため滞在しているフランス・パリで関係者から知らせを受けた菊地は「大変光栄。パリにいて、こんなニュースをいただき、すごくうれしいです。両親にすごくいいプレゼントになりました」と大喜びしている。

 アカデミー賞にノミネートされた日本人女優は、「サヨナラ」で助演女優賞候補入りし受賞したナンシー梅木(57年度)以来49年ぶりで2人目。男優を合わせても、03年度に「ラスト・サムライ」で助演男優賞候補になった渡辺に続き日本人5人目の快挙だ。

 「バベル」は、モロッコの銃撃事件と連鎖する米国・メキシコの国境や日本の出来事を通し、人間の心の壁やきずなを描いた作品。菊地は心の傷を抱えて疎外感と闘う、ろうあの女子高生役。ヌードも披露し、体当たりで演じた。

 尊敬するアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督(43)の作品に出演したい一心で、手話を特訓し、1000人を超すオーディションに挑んで見事に役を勝ち取った。主演のブラッド・ピット(43)も「リンコはすばらしい。褒めざるを得ない」と絶賛する演技力を見せた。

 全米映画批評会議の新人女優賞、シカゴ映画批評家協会賞の助演女優賞を受賞。アカデミーの前哨戦とされるゴールデン・グローブ賞では惜しくも受賞は逃したが助演女優賞候補になった。

 「バベル」は作品賞、監督賞など6部門でノミネート。菊地と共演したアドリアナ・バラッザ(50)も助演女優賞候補入りした。菊地は来月に行われる授賞式に出席予定で「発表の当日、会場で(共演者ら)みんなに会えるのが楽しみです」と心待ちにしている。

 ◆菊地 凛子(きくち・りんこ)1981年(昭56)1月6日、神奈川県に生まれ。「全く別人になれるから面白い」と中学3年生の時には女優になることを決めた。99年に本名「菊地百合子」の名前で新藤兼人監督の映画「生きたい」でデビュー。01年にはNHK朝のテレビ小説「ちゅらさん」にも出演した。04年5月にスタイリストの助言で「凛子」に改名。最近はSMAPの木村拓哉(34)と共演したパソコンのCM「ウサタクの話 変身編」などお茶の間に浸透。プロ野球「千葉ロッテ」のイメージガールとしても活躍。1メートル69、特技は馬術、日本舞踊、そして「バベル」で特訓した手話。

goo 映画 - 2007年1月23日