海外ブランドが集結。“摩天楼”が名古屋新時代リード ミッドランドスクエア

 2007年、中部経済圏の玄関口である名古屋駅前が新時代に向けて大きく動き出す。5日からトヨタ自動車が名駅前の超高層ビル「ミッドランドスクエア」で業務をスタートさせるほか、3月には商業棟も開業。同じく1月には「名古屋ルーセントタワー」も完成する。駅前再開発がもたらす経済波及効果は大きく、“元気な名古屋”の象徴でもある。(島田耕)

 「国内・海外営業を集結させ、本社との連携強化により、これまで以上の商品開発が可能となる」

 昨年12月22日。名古屋市内で記者会見したトヨタの渡辺捷昭(かつあき)社長は、ミッドランドスクエアに国内・海外営業部門を移転させることのメリットをこう説明した。

 昨年10月にオフィス棟がオープンしたミッドランドスクエア。全日本空輸や新日本石油、野村証券など業界を代表する大手企業が続々と入居するなか、17〜40階を占める最大規模のトヨタは約3000人が同ビルに引っ越し、今月5日から業務を開始する。

 247メートルと東海一の高さを誇り、“元気な名古屋”のランドマークとして期待されるミッドランドスクエアだが、最大の注目点は世界首位が目前に迫るトヨタが営業の最前線を名駅前に集約させたことだ。

 大垣共立銀行系シンクタンクの共立総合研究所(岐阜県大垣市)の江口忍主任研究員は「世界のトヨタが入居することで名古屋に進出する企業は“まずは名駅前”という選択になる。ミッドランドスクエアが名駅地区の格を上げる」と指摘。当事者のトヨタの渡辺社長も「グローバルな営業拠点として東京よりも機動性が高まるはず。ここを新しいものを生み出すところにしたい」と強調する。

 また、オフィス人口の急増により、名駅周辺のホテル、百貨店、レストランなども新たなビジネスチャンスの到来に沸騰しており、「トヨタと商談をするために日本、そして世界中からビジネスマンがミッドランドスクエアにやって来る。当然のことながら、名駅前で食事をし、宿泊するだろう。このインパクトは相当なものである」(ホテル関係者)と、2007年以降の収益増に期待を寄せる。

 ミッドランドスクエアの“衝撃”は、トヨタの移転だけではない。同ビルの開発・運営事業者であるトヨタグループの東和不動産(名古屋市中村区)の神尾隆社長は「世界にむけてビジネスや商業、文化、情報を発信する国際交流拠点として機能するだろう」と強い口調で言う。

 その中心的な役割を果たすのが、3月に開業する商業棟だ。ここには59店舗(一部、オフィス棟最上階を含む)が出店。「格調とにぎわいの融合」「ファッション情報の編集と提案」をコンセプトとする国内外の高級ショップ、レストランが軒を連ねる。

 約450店から厳選された59店のうち、中部初出店(新業態を含む)が38店、中部・東海エリア最大の旗艦店が11店。1〜3階には「ルイ・ヴィトン」「クロエ」「カルティエ」「ショーメ」など世界的に有名な服飾や宝飾のスーパーブランドが集結。レストランフロア(4階)には、日本初進出となる上海料理「上海老飯店」をはじめ、スペイン、韓国、イタリアなど世界の味が一堂にそろう。

 ショッピング、グルメだけでなく、5階には客席(1270席)すべてを革張りシートとした7スクリーンのシネマコンプレックス(複合型映画館)が登場。

 また、昨年10月にオープンしたオフィス棟には最新鋭のホール、会議室なども装備しており、神尾社長の言葉通り、ビジネス・商業・文化・情報の発信拠点となる。

 オフィス棟には日本を代表する大手企業が入居し、商業棟は世界の高級店がずらり。まさに“高級な街”が凝縮されたビルであり、名古屋・新時代はミッドランドスクエアがリードしていくことになる。
フジサンケイ ビジネスアイ - 2007年1月3日