足元 華やぐ遊び心


 おしゃれは足元から――。そんなファッションの格言が聞こえてきそうな、個性的で、存在感のあるヒールの靴が登場している。

 ミニ丈や装飾の少ないシンプルな装いが流行の今季。各ブランドの靴も、相性が良いとされる、華やかでボリュームのあるものが多い。ヒールの高さは、9~10センチが中心。

 シャネルのサンダルは、太いヒールが特徴だ。分厚い靴底の前面は金や銀、かかとの部分は黒や白のエナメル革をはり付けた。遠目には、ヒールに支えられた足が浮き上がっているようにも見える。そのボリューム感とは対照的に、軽快な雰囲気だ。

 今春夏物で、小花柄やフリルなどをふんだんにあしらったロマンチックな服を提案したルイ・ヴィトン。もちろん足元も華やかで、ヒールの代わりに、キラキラと輝く金色の指輪をつけたようなサンダルを合わせる。

セルジオ・ロッシ 緩やかな曲線が特徴 緩やかな曲線をヒールに取り入れ、女性の丸みや優しさを表現したというセルジオ・ロッシのサンダルやパンプスもユニークだ。

 グッチは、ウエッジソールをキャンバスに見立てたかのように、刺しゅうや編み込みで色鮮やかな花柄などを絵画のようにあしらった。

 ある時は精巧な工芸品、またある時は絵画へと姿を変えるヒール。そこには、デザイナーの思いや遊び心が込められている。(斎藤圭史)

読売新聞 - 2007年4月13日